イアは私に声をかけるまで、意識だけははっきりあった。
でもいきなりのことだったためか、焦りがおさまらない。
そんな私をみて、ニアは優しい目をした。
心が安らぐような大きな愛に、私はすっぽりと包まれたかのようだった。
「イアを私が助けるのは簡単よ。」
ゆっくりと、まるで小さい子に言い聞かせるかのように言うニア。
私はホッと胸を撫で下ろした。
「でもね、イアを深い意識の淵から本当の意味で救い出せるのはあなただけよ?シルヴィア。」
私が、イアを救える?
私はイアが処刑されるのにも間に合わなかった。
そんな私に出来るのだろうか?
さっき平和になった心のなかで、また不安と焦りが騒ぎだす。
「私が……イアを助けるの?」
「そう。今のあなたならきっとできるはず。」
ニアの右腕は、私の後ろにすっと伸びていた。
その指差す先には、イアの姿があるはずだ
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