悪魔の彼








王が抱きしめる腕の間からは、ニアの目がこちらを向いていた。



叫び声がやんでからそう時間はたっていなかった。





かさりと、おちたうさぎをけり、それまでうさぎを抱えていた手を王の胸元にあてる


そして、静かにその胸を押した。





王は不思議そうにニア女王を見つめたが、ニア女王の視界にはシルヴィアしか映っていなかった。









「私……思い出した。」






偶然にも同じ日に記憶を取り戻した二人。



お互いに見つめ合い、再会にただ驚いていた。



しかし、ニアの驚きの表情は、すぐに神々しいとさえ思えるような輝いた笑みを浮かべた。







「シルヴィア!シルヴィアなのね!!!」









目に輝いた雫をためながら、私の名前を呼んだ。









「かあ、さま……母様っ!」






私は急いで駆け寄ろうとして、自分がネックレスをかけていないことにきづいた。





しかし、止まる間もなくニアは私に飛びついてきた。