悪魔の彼






あまりのことに、驚きの表情をしている王。



無表情に働く兵達にも少しばかり動揺が走ったようだが、行動にはさほどあらわれなかった。






怒りでわなわなと震える手をぐっとにぎりしめ、また叫びだしそうになる自分を必死で抑えた。



そして、静かに言った。






「貴方はどうしてイアを犯人だと思うのですか?」





「手紙だよ……イアの置き手紙だ。僕のせいだと書いてあっんだ。イアのやったことだと判断できるだろう?」




私は小さくため息をついた。





確かに一般の、争いや多大な責任に縁の無い人々ならそう解釈してもおかしくないのかもしれない。



しかし、彼の立場は王という重要かつひとつひとつの行動に責任がついてまわる立場だ。


どうしてそんな人が、気付かないのだろうか?





イアだけではなく、執事も共に消えている本当の理由に………




本当はどうしてイアが王宮を出たのかを……