悪魔の彼





あの時の怒りは、今でもはっきりと覚えている。


その後、部屋を探したところ彼の貴重品がほとんどなくなっていたのを見たときには、彼が自ら家を出ていったのを確信したのだ。




その知らせを聞いたニアは何を言うでもなく、倒れた。


彼女はそれから一週間、目を覚まさなかった。

そして、目を覚ましたときには彼女の記憶に五歳以降の記憶はなかった。




頭を鈍器で殴られたような衝撃が走り、王宮内のだれもが悲しみにくれた。






その時私は誓った。




イアを絶対に捕まえると


そして



イアがそんなことをしなくてすむようにすると









しかし、いつからかその感情もただ怒りに、憤りに変わっていた。



そして今、とうとう捕まえたのだ。


シルヴィアは確かに帰ってきた。しかし、イアを許すことは出来なかったのだ。
どうせ真実を話していないのだろう。





だからこそ、シルヴィアはイアを処することを嫌がるのだ。






母上や、種族王達は知っているというが、シルヴィアのいないところでなら何とでも言える。




私は、許さない





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