その晩
ニアはすっかりふせぎこみ、にこりともしなくなっていた。
そんな彼女から目を離してどこかへ行くのは抵抗があったが、王はなかなか自室から出てこないイアのことも心配だった。
「すぐ帰ってくるから待っていなさい。」
そう言うと、珍しく自分からイアの部屋へと出向いた。
赤く長い絨毯が大理石を覆う廊下
沢山の部屋がある中で、斜め向かいのイアの寝室へと向かう
コンコン
扉をノックしてみたが、中から応答の声はない。
寝てしまったのかもしれないと思い、小さく声をかけてみる。
「イア、入るぞ?」
いつも無用心なことに鍵を閉めないイアの部屋の扉をゆっくりと開ける。
しかし、そこにイアはいなかった……
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