悪魔の彼







「どうかしたか?」




仮面を被り、表情のわからない顔で冷たく無機質な言葉をかけてくる衛兵。





「王にいますぐ伝えなければいけないことがあります。通してください。」




シルヴィアが言う。

すると衛兵は槍を小さく構え、先ほどより少しばかり緊張した声で言った。







「王はこの城にはいない。」




「いいえ、いるはずです。通してください。さもなくば………少しばかり気を失っていてもらうことになりますよ?」







衛兵ははっ、と小さく笑った。






「丸腰のおまえらに何ができる。」




シルヴィアは衛兵のその人ことに眉をひそめ、すみません。と言った。










ばさっ











シルヴィアのその声に続くようにして衛兵の墜ちる音を聞いた。



あまりにも容易だった。


ほとんど力を入れずにくびの根本を触っただけなのだ。





幼い頃の記憶から教わった、敵を失神させる方法だ。