「ごめんなさい。羽を畳んでしっかり案内をして。」
アルはなんのことかさっぱりわからずに首を傾げる。
「しかし、羽を畳んで、わっっ!!!」
少し羽を収縮させた瞬間、アルは物凄い力で上へ引っ張りあげられて、やっと何がおこっているか気付いたのは、500メートル近く進んだところだった。
「んなっ、シ、シ「いいから案内♪」」
自分の思ったように進めることが出来たシルヴィアは少し自慢げに頬を綻ばせていた。
が、それは一瞬のことで、次の瞬間その笑みは消えていた。
そんなシルヴィアは、自分の力の強さに少なからず驚いていた。
アルは大柄ではないが、それでも体重は確実に私よりはある。
自分よりも重いものを持ち上げながらも、今までにないようなスピードを出しながら飛んでいる。
下でアルが指示を出すのを聞きながらシルヴィアは自分を怨んでいた。
あの時にこの力を自分の中から見つけることが出来ていたなら、一人逃れる必要はなかったし、イアも連れ去られることはなかったのだ。
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