悪魔の彼





「隊長?アルビーダウス隊長?どうなさいましたか?」



「貴女様が帰って来ていたという噂は本当だったんですね?」




彼はいきなり顔をあげ、そう言った。



噂とは、本当に回るのが早いものだ。






多分、関門でのあの話しのことなのだろう。




「それは誰から?」




私はためしに聞いてみた。





「ええ、随分とお喋りな検問官からです。」




ほら、やつぱり。





「このことは王もご存知なのですか?」




「はい。信じておられないようですが……」


「ねえ、じゃあ女王ニア様はどうなの?」




二人で話し込んでいると横から声がかかった。




「うわぁっ!………失礼しました。リナ様、それが……」







アルはそういうと黙り込んでしまった。