観衆が騒ぐ声も時々聞こえてくるが、馬車は止まることがない。
いく道は、誰も口を開かない。
御者でさえも顔が緊迫した雰囲気を醸し出している。
ついたのはまたあの大きな塀の前だ。
門は開くのか怪しい程厚くて広くて大きくて重そうだった。
フランテが両方の翼を使わず、片方だけでベルを鳴らす。
すると、中でいろんなところで鈴がなるのが聞こえた。
ガガ…ギィギギギ……
ガタン!
門は大きな音をたてながら開いて、ざっと数えて三十人ほどの兵士が出てきた。
防人なのだろう。
「門外の者に申す!通行許可証はお持ちか!?」
真ん中に立ったまだ若いと見られる男が言う。
「いや、ないよ。」
フランテは、冷静に淡々と答えた。
私達はフードを深く被り、成り行きを見守る。
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