悪魔の彼






リナは、あのぬいぐるみと同じものを持っていたそうだ。



まだ、お母さんが生きていた頃




隣で絵本を読んでくれる、お母さんの声を聞きながら抱いていた


思い出の詰まった大切なぬいぐるみだったらしい




でも、今はない


燃えてしまったのだ。





ここにあるのを見つけたのは、ベッドに入ってからだったらしい。


それで感情が抑え切れなくなったのだ。






「シルヴィア、聞いてくれてありがとう……こんなに親身になって、建前じゃなくて本当の友達として聞いてくれる人って初めてなの。」



「私のいた世界では普通のことだよ?」



「いいなぁ……」





彼女は寂しそうな遠くを見つめるような目で言った。