悪魔の彼






そう声を上げたのはヨーギリアスだった。


確かにここは彼の領土だ。


どうにかなるかもしれない。




「というか簡単なことかと。僕の城の馬車を使い、従者に運転させればいいのでは?」



「しかし、それでは家紋が入っているんじゃないかい?」



自信満々のヨーギリアスに反論を唱えたのはフランテだった。




リナがまだ落ち込んでいるので、私もまだ支えていてなかなか発言が出来ない。


「大丈夫です。僕の城には家紋の入っていないものがありますから。」



ヨーギリアスは答える。


それならばれてしまう心配はないだろう。




「では案内していただけますか?」



カリウスがそう言ったその言葉を合図に、皆が馬車のとめてある場所へと向かった。