悪魔の彼







「彼に会えば、きっと貸してもらえるはずだ。それまでは自力でなんとか抑えるんだ。」




「はい……」





ラギールはイアのときのこともあり、飲み込みが早かった。



もしかしたらニア女王に聞いていたのかもしれない。




聞いてみなければ。





「ラギールさん、あれ?」




もうそこにラギールの姿はなかった。



それどころか、男性はみないなかった。


きぬ擦れの音がしたのと、急に気配が薄くなったのはそういうことだったのか……






そこで大事なことに気づいた。



二人の誤解を解いて治療をしなければいけない。





「あの、ごめんなさい!私……」



「わかってるよ。わざとじゃないこと。」




リナが、まだ少し痛そうだが微笑みを見せた。




「私も、わかっております。貴女様はこんな事をわざとするような方ではありませんもの。」






ぽろぽろと涙が零れたが、二人のもとへかけていく訳には行かなかった。



また怪我してしまったら取り替えしがつかないから