悪魔の彼





どうして彼がここにいるのだろうか?



天使の領土で別れを告げた彼が


王のもとで王を守っているはずの彼が


今行こうとしているところにいるはずの彼が
どうしているのだろうか?



「どうして……」



「全てはキングカリウスの仰せのままに…だよ。」



聞こえないように小さい声を出したつもりだったのだが、どうやら聞こえていたらしい。



「カリウス王って……彼が貴方にいったの?ここにいけって?」



「うーん、ちょっと違うかな?」



フロウは悩むようなそぶりを見せたが、諦めたように眉を上げた。



「王は来てるんだ。だから俺はついてきたって感じかな。」



私は唖然とした。
まさか王が直々にやって来るなんて思ってもみなかったことだ。