悪魔の彼





「俺もいく」


そう言葉を発したのは、柱に寄り掛かり全てを黙って聞いていたティープだった。



「俺もあいつを助けたい」



無念ともとれるような苦しそうな顔。

彼もまた、イアを愛するものの一人だ。
愛し方は違っても、私と同じようなもの。気持ちは痛いほどに分かった



「クイーン、良いかな?」



出来るなら連れていってあげたかった。

本当は私が頼む立場なのだが、そんな事を彼は微塵も感じさせなかった。


それだけ彼もイアに帰って来てほしかったのだろう……



「もちろん私は良いよ。妖精の領土と治安は従者達に任せるから。」



「ありがとうございます、クイーン。」



彼は恭しく一礼した。