悪魔の彼





「目が覚めたんですね!シルヴィア様!」



目に涙をためながら作る笑顔は、守りたいって思わせるような表情だった。



「すみません。仕事がたまってしまって……」



「いいえ。気にしないで下さい。私が悪いんですから」



そう、あんな所に落ちた私が悪いのだ。


大変な思いをさせてしまったにちがいない。

きっと二人には運ぶのさえ大変だっただろう。



私は彼女にも事情を話した。
目を見張っていく彼女の表情には、どこか寂しげな表情がふっと浮かぶことがあった。


彼女もまた両親を亡くしたからだろうか?