悪魔の彼






イアは無理矢理従者の羽を傷つけないように気をつけながら背中を押す。






「俺を連れっていってみ。それで君の主君の反応をみれば分かるよ。」






「し、しかしながら…」






彼が反論しようとして声を上げた頃にはもう遅かった。




部屋についていたのだ。










ガチャ







「入りたまえ。」






聞こえた声は昨日の声とは違った。



もっと深く低い背筋が自然と伸びるような、緊張感を持たせる声。





昨日のあの声は比べ物にならなかった。






「久しぶりですね、カリウス王。」




「「えっ」」


王と私の声が重なる。




私の驚きは王座にすわっているのが昨日とは違う人物だということ。







王の驚きは








私とイアというこれからの魔界を支えていくといわれる二人が、自分の目の前に居ることだった