「シルヴィアさん、王がお待ちです。」
私はイアにまだ話したいことがあったのだが、呼ばれているなら仕方がない。
「今行きます。」
従者の人に返事をしてからイアに顔を向けたが、反らして小走りでついていく。
「待てよ。」
後ろから声をかけられた。
イアの声だった。
「俺もいくよ。」
私が返事もしないうちに靴音を鳴らし、後についてくる。
それに従者の人が気付いた。
「残念ですがお連れ様はここまでです。おかえり下さい。」
イアは挑戦的な彼にほぅ、と言っていたずらなえみを浮かべる。
「俺が誰だかわかるか?」
ふふっと笑い声をこぼしながらじっと従者を見つめる。
「シルヴィアさんの親戚……でしょうか?」
ある意味で当たっている。
が、イアの求める答えとは違うことは明らかだった。
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