悪魔の彼





「握手するふりして、電気を流そうとしたんですよぉ………」





私はすっかり呆れていた。

私だけじゃない
みんなそうだ。




それはあんたが使った手だろ!
っと突っ込みたくなるのを抑えて、少しこの状況を楽しんでみることにした。





イアは私の正体を知っているからだ。







そう思いすっかり安心して会話に耳を傾けた時だった。




「あたし、シルヴィアさんのこと……」




アンジェリーナがすべて言い終わる前に、イアは私につかつかと寄ってきた。




アンジェリーナはうれしそうな顔で私を見ていて、サーカス劇団員達は止めるか止めないか迷っている。






イア本人はというと、真っ青な顔をしている。



今の今までイアの冗談だろうと思っていた私に、嫌な汗がつたう。





そして彼は通り過ぎるさいに私に呟いた。





「扉の前で待っているよ。」



そのまま扉をでていったイアにアンジェリーナがぽつりと一言。








「つまんないの……」



その頃には私は扉を出ていた。