緊張して顔を伏せている私に王の従者が顔を上げろといった。
恐る恐る顔を上げると王座に座り、大きな構えで私を見るひとがいた。
「やっときたか。そち、少し飛んでみぃ。」
ゆったりとした口調でいて威厳のあるその喋り方に私は頷くことしか許されていないような気がした。
私は始めはゆっくりと、そして少しづつ早く飛んでみた。
その姿は、本人こそ気付いていないものの、この世のものとは思えないほど美しかった。
「おお、見事じゃ!もっと近くで見せてくれないか?その羽のことだ。」
「あ、あの……」
私は勇気を出して声をかけてみた。
が………
従者にきっと睨まれ、言葉を発することができなくなり
その日は結局本当のことを言えずに終わってしまった。
.


