悪魔の彼





サーカス劇団員の人達も個人でここにきた人達も、とても優しく、私の能力についてもなにも聞いてこなかった。




暗黙のルールがあるらしく、個人情報についてはなにも聞いてこない。






しばらくの間談笑を楽しんでいると、私の番がきた。


まだ羽を出していなかったが、この人達の前でだすわけにもいかず


扉の前までついてしまった。













いよいよだ。


王にあう。この国の王に……



危うく羽を出し忘れそうになった私は、急いで羽を広げる。




まだすぐにとはいかないが、だんだんと慣れてきた様だ。












ガチャ………キィ……





「し、失礼いたします。」



「ああ、入れ。」








体に響く深く低い声は王自身のものだった…………