Summer again with



思わず哲さんを見ると、お茶目なウインクで返してくれた。

男の人たちは、『はぁ!?』と言ってブーイング。

それを気にすることなく、ナツは私の手を引いて店を出る。

…少し伸びた髪と、大人びた表情。


ああやっぱり追いつかないなと、私は優しい気持ちで大好きな夏の空気を吸った。







『…ありがと、ナツ』


ふたりで手を繋いで、海岸を歩く。

ナツは『いいよ』と笑ってくれた。


それから、お互いに合格おめでとう、と言い合った。

去年、目標だった連絡先を聞くことは、達成されなくて。

来年の夏笑顔でナツと会うんだ、という気持ちだけで、勉強を頑張った。

そしてやっと高校生になったのに、もうナツは大学生。

私が元気良く話しかけると、彼は優しく答えてくれる。


『あのね、ちょっとだけど、泳げるようになったんだよ!』

今日は、久しぶりに水着を着てパーカーを羽織っていた。

パーカーを脱いで、驚いた顔をするナツに渡すと、私は海に足をつけた。

…大丈夫。

胸のあたりまで水がつかったとき、ナツを見た。


『み、見ててね』

力のこもった言葉で言うと、ナツは優しく笑う。

『溺れたら助けてやるから、安心しろ』

その言葉に唇を噛んで、私は海に顔をつけた。