Summer again with



私は、涙が出そうになりながら『うん』と言った。





それからもう一年した、夏。



私は辛い受験を無事乗り越え、高校一年生になっていた。


おじいちゃんに『高校入学おめでとう』と言ってもらって、そして。


『じゃあ、海に行って来ます!』


そう言ってリビングを飛び出す私に、もう家族みんなが『ハイハイ』としか言わない。

おじいちゃんは、優しい目で見送ってくれた。



海の家に着いて、哲さんの姿を探す。

やっぱり去年と変わらない肌の色で、哲さんはお客さんと喋っていた。


『哲さん!』

私の声に、哲さんとお客さんが振り向く。

ボブを揺らす私を見て、ふたりとも『未海ちゃん!』と言ってくれた。

『久しぶり、哲さん、宮田さん!』

去年知り合った宮田さんは、気のいいおばちゃんって感じの人。


『これまた未海ちゃん、綺麗になったねぇ……』

私を見つめて、哲さんが笑う。

宮田さんも、『美人さんやわ』と言ってくれた。

『ありがとう』と言って、私はいちばん訊きたいことを、口にした。

蝉は変わらない鳴き声をして、海は変わらない色をして。

けれど、君はこの一年でどんなふうになっただろう。


『ねえ哲さん、ナツは……』


そのとき、店のなかに若い男の人たちが入ってきた。

…なんか、ガラ悪い。