「・・柏木、サッカーだったね。」
「まぁ、案の定って感じ。」
例によってHR中、体育大会の競技決めをした。
バレー、バスケ、サッカー、ソフトボール、卓球のどれかにそれぞれが参加。
サッカー部所属の柏木くんだから、もちろん出場競技はサッカーだ。
「オレ、杏ちゃんのために優勝すんで!!」
タタッと駆けてきてしっかりあたしの手を握りながら、相変わらず眩しい笑顔を向けてくれた。
「ほんと、諦め悪いね、あいつも。」
珠樹は走り去って行く彼の後ろ姿を眺めながらしれっとした様子で言ってのける。
「最近ストレートすぎてこっちが戸惑うよ・・。」
「え?ストレートなのは初めからじゃん。」
キョトンとした顔で珠樹が言う。
それはそうなんだけど。
なんていうか、人目をはばかるということをしなくなった。
「ま、それほど耐えられなくなってきたってことじゃないの?」
「え・・・?」
あたしには関係ありませんみたいな顔してるのに、聞き流すわけにはいかない発言をする。
「早く振り向けって思ってるのよ。
逃げられないようにみんなの前で言うのも、たぶんそれ。」
・・・そうか。
口では急ぐなって言うけど、ほんとは早く返事が聞きたいって思ってるのかな・・・。

