途中から花火なんかより、その光に照らされては影を作る先生の方に見とれてしまった。
だって、あまりにも綺麗なんだもん・・・。
「っ・・・・・。」
急にこっちを見るから、目が合ってしまった。
なぜかそのまま逸らせずにいて、徐々に体温が上がるのがわかる。
あたしの肩を抱いていた手がすっと離れたかと思うと、くるっと視界が回転する。
「せんせ・・?」
窓にあたしの背中をつけて、逃げられないようにと顔の横に手をつく。
「約束破るような女だとは思ってなかったけど、言うことは聞かねぇんだな。」
真剣だけど、どこか切なげな先生は、ボソッと呟く。
「え・・・?」
「お前は、俺の特別だって言ったろ。」
キョトンと聞き返せば、少し距離を縮めて言う。
「・・・・それ、信じてるとでも思ってるんですか。」
先生の顔は見れなくて俯きながら、ぐっと手のひらで拳を作って握りしめる。
“特別”なんて言葉、あの日からとっくに疑念だらけだ。
「あ?」
あたしの言葉が癇に障ったようで、一層低い声が響く。
それに重なるように大きな花火の光が教室の中を照らした。

