もう一度大きくため息を吐いたあたしを見てクスクス笑っている珠樹は意地悪だ。
「あ、次移動じゃない?」
「英語だっけ。したら移動だ・・・。」
なんだか知らないけど、今日の朝望月先生からの連絡で英語は教室移動だと言われたんだった。
重くてだるい体を上げて、教科書類を持って教室を出た。
「英語、春市先生だね。」
「マジでか。」
「あんた、先生の自己紹介聞いてなかったの?」
呆れたように笑った珠樹の言葉に、必死に思考回路を働かせてみる。
「覚えてないなぁ・・・」
英語科ですなんて言ってたかな。
首をひねりながら尚も記憶を辿っていると、突然視界が揺れた。
「ちょ、杏子!!」
珠樹の必死な声が聞こえたときには、あたしの体は宙に浮いていた。
え、なにこれ、落ちてる!?あたし落ちてるの!?
いやにスローに感じられた時間は、ふと誰かに体が受け止められたことで正常に戻った。
「大丈夫?」
「は、春市先生・・・・・・。」

