あの日・・・・英語科研究室での日以来、この人と2人になるのは初めてだ。
呼び出しも特になかったし、顔を合わせるのもあたしが避けてきたし。
「・・・・・冷たいねぇ、あんこったら。先生泣いちゃうよ?」
まるで悲しそうな顔をしてない先生は、さっきまで柏木くんが座っていた場所に、颯爽と腰を掛けて足を組む。
その一連の動作に思わず見とれてしまいそうになった。
「・・・・・300円。」
「は?」
「この前のシャツのクリーニング代。300円だから。」
ポケットから煙草を取り出して吸いながら、衝撃的な言葉を告げる。
「冗談やめてください。シャツ1枚でそんなにするわけないじゃないですか。」
あたしのお父さんのシャツのクリーニングには120円程度しかかかってないの、知ってるもん。
「あ?俺が嘘ついてるって?・・・誰のせいでシャツ汚れたと思ってんだよ。」
ぐいっとあたしの顎を掴んで自分の方へ向けさせて、ふーっと煙草の息をかけられる。
・・・これ、もはや虐待でしょ!!体罰でしょ!!
「ゴホッ、ゴホ・・・。・・・・分かりましたよ、払えばいいんでしょ!!」
顎に添えられた手を振り払うように立ち上がり、先生から離れて鞄へ向かう。
納得行かないながらも財布から300円取り出して、先生に差し出す。

