たぶん彼は本気であたしからクリーニング代を取ろうとしているんだと思う。
どう考えてもそれは筋違い・・・っていうか、あたしの涙の原因は春市先生なのに。
それを知らない先生に、拒否は通用しないと諦めをつける。
「じゃ、そのうち請求するから金貯めとけ。」
それだけ言うと、先生は教室を出て行った。
・・・・・・。
いや、どんだけクリーニング代かかる計算!?
貯めなきゃならんほどかからんだろ。
っていうか、なんであたしはここに呼ばれたんだ。
ただの気まぐれなんだろうけど、目的もなく呼び出されるこっちの身にもなってほしいものだ。
小さくため息をついて教室を出て、少しゆっくり目に歩きながら教室へ戻った。
「あ、杏子!!どこ行ってたのよ。探したんだよ!!」
教室へ入るや否や、珠樹が駆け寄ってきて捲し立てる。
「ご、ごめん・・・。ちょっと用事で・・・。」
「ま、いいけど。それより、クラスの仮装衣装完成したみたいだよ。」
「今年のコンセプトなんだっけ?」
「さぁ・・・よく知らないけど、プリンスとプリンセスみたいだよ。」
「高校生にもなってプリンセスって・・・・・。」
珠樹と二人で苦笑するも、クラスの女子たちはノリノリのようで。
1人ずつ教室の隅にパーテーションで個室化されたところで衣装合わせをしているが、キャキャーと声が上がっている。
女の子の永遠の憧れなのね、そうなのね。

