「・・・・・落ち着いた?」
しばらくして、ひたすらに泣き続けたあたしの様子を窺うように、先生が顔を覗き込む。
「み、見ないでっ。」
きっとひどいことになってるであろう顔を手で覆って、ついでに背も向ける。
元はと言えば、あたしはこの人のせいで泣いてるのに。
どうしてこんなにも普通に接されてるのよ。
もうちょっとびしっと言えただろうに。
「お前の顔がちょっとくらいひどくなろうが大して変わんねぇよ。」
毒舌なのかなんなのか、言葉を投げつけながら先生は元通りに椅子に座る。
「で。なんで急に泣いた?」
足を組んで俺様全開の空気を放ちながら言われても、こればっかりは素直に口にはできない。
「・・・・・・。なんでも、ないです。」
「なわけねぇだろ。見ろ、お前の涙で俺のシャツびしょびしょなんだよ。どうしてくれんの、これ。」
ちょうど胸のあたりの色が濃くなったシャツをつまみながらアピール。
「そ、れは・・・すいません。・・・でも、ほんとになんでもないんで。」
よく考えてみれば、あたしが気にしたところでこの人のモテ度はどうにもならないんだ。
あの人が先生とどういう関係なのかとか、あたしに言った言葉とか動作がどういう意味なのかとか、
そんなのどうでもいいことなんだって思えば、それで終わる。
今は、それで片づけられる。
なら、わざわざ先生を困らすようなことは、言わなくていい。

