″特別″
相手がだれであれ、こう言われたら少なからず嬉しくなってしまうあたしって単純なのだろうか・・・。
家へ帰ってご飯を食べてても、お風呂に入っても、頭の中では先生の台詞が反芻されていた。
「ちょっと杏?聞いてるの?」
「え?あ・・・あぁ、ごめん、お母さん。なに?」
「なに?じゃないわよまったく。明日の買い物どうするかって話でしょ。」
お風呂から上がったあたしはソファに座っていて、その後ろからお母さんの拗ねたような声が聞こえた。
お母さんは食器を片づけながら会話をしている。
「せっかく来週にはお父さんが帰ってくるんだから。しっかりしてよ?」
「あぁ・・・もう来週なんだ。早いなぁ。」
新学期が始まってから二度目の休日が翌日に控えている。
来週の休日には大阪へ単身赴任している父が久しぶりに帰ってくるのだ。
母はそのための買い物をしたいと、あたしと出かける計画を立てているというわけだ。
なにを買うって・・・大方新しい服だろう。
うちの親はいい年してラブラブイチャイチャしていて、お互い好き合ってることが伝わるバカップル夫婦なのだ。
久しぶりに彼氏に会える10代の女の子のようにはしゃいでる姿を見ていると、呆れるとかを通り越してむしろ羨ましくさえある。

