覚悟を決めてギュッとつぶっていた目を開けば、迷いの色を浮かべた先生の顔が見えた。
「・・・。やめた。」
「え?」
パッとあたしから手を離し、元の位置まで戻る。
「何その顔。」
「えっ。」
「キスして欲しいって言ってるけど。」
意地悪くそう言えば、先生はまた近づいてくる。
「そ、そんな顔してないですっ!!キスしなくていいですっ!!全然してほしくないですっ!!」
全力で拒否して、ソファの上から逃げ出す。
「・・・嘘に決まってんだろ。生徒に手出すかよ。」
ククッと喉の奥で声を出して先生が笑う。
キュンっ・・・・・・。
いつもみんなの前で見せてる殺人スマイルとは違う笑顔に、ちょっと素が見れた気がして、胸の奥の方が変な音を立てた。
「お前、文化祭どうすんだよ。」
急に普通すぎる話題を振られてしばらく固まる。
「どうする、とは・・・?」
「誰と回るんだってことだよ。」
カチッとライターが音を立てて、煙草に火を点ける。
・・・校内禁煙ですけど。

