「_____気を引き締めて頑張るように。」
長い長い校長の話もやっと終わり、あたりにホッとした空気が流れる。
「続きまして、今年度から赴任されました先生を紹介します」
進行役の先生の声で、校長先生が2人の教師を連れてステージに上がる。
それまで俯いていた私は、周りのきゃーという声で顔を上げた。
「やだぁ、右の先生超イケメン!!」
「えぇ、あたし左!!」
後ろの方で聞こえる女子たちのセリフに頭を傾げながらステージ上の先生に目を移す。
「・・・・・・あぁ!!!!!!!」
「え、ちょ、なに杏子!?」
「え、いや・・・ごめん、なんでもない。」
あたしが奇声を発したのも無理はない。
今、あたしから見て左側に立っている先生は朝あたしとぶつかったあの男の人なんだもの!!
「春市雄佑です。よろしく。」
ニコっと微笑んだ彼に、女子たちがきゃーと声をあげた。
「春市先生には、2年2組の副担をしてもらいます。」
「え・・・」
「いやーーん!!嬉しいっ!!」
「春市雄佑!!ゆうちゃんかな!?」
クラスの女子たちが歓喜の声をあげる中、あたしは呆然とするだけだった。

