「ほら、杏子っ。イチャイチャしてないで手伝って!!」
「だっ、誰がっ!!」
少し落ち着いた様子の珠樹がニヤッと意味深に笑いかける。
「えー、珠ちゃん、もうちょっと杏ちゃんとラブラブさせてぇやぁ。」
「柏木くんったら!!・・・ほら、先輩呼んでるよ!!」
「え!?あ、ほんまやっ!!ほなまたな、杏ちゃん珠ちゃん!!」
悪戯っぽく笑った柏木くんの顔は、あたしの言葉で一瞬にして焦りの色に変わった。
あたしたちに手を振りながら、先輩の元へ猛スピードで駆けて行く。
「・・・あーあ。怒られてる。」
先輩に思い切り頭を叩かれて、すいませんと言わんばかりに頭を掻く柏木くんを見て思わず笑いがこぼれた。
「杏子。ニヤニヤしてないで手伝って。」
「っ!!ニヤニヤなんかしてないしっ!!」
はいはいと笑いながら、あたしにもペンを渡す。
「ここ、色塗って。」
とんと指で刺された場所を塗っていると、ポケットでケータイが震えたのが分かる。
どうせ放課後作業なので、ケータイのマナーは解除してある。
「・・・・・・げ。」
『第3音楽室。』
だから。
お前は何様なんだ春市雄祐よ。

