なんだか怖くなってそのまま後ずされば、山になった段ボールに背中がつく。
「聞こえなかったか。コーヒー注げって言ったんだよ。」
あたしの顔の横に手をついて、背筋の凍るような顔で、声で、威圧した。
「は、はい。注ぎます・・・・・。」
聞こえるかどうかの声量で答えれば、また先生はソファに座った。
どこから持ってきたのか、本棚の横に置かれた机にはコーヒーメーカーとコップ。
もうすでに出来上がっているコーヒーを注いで、先生の前に出した。
「・・ミルクとか砂糖、なかったんで・・・。」
「俺ブラックで飲むから。」
恐る恐る尋ねれば、素っ気なくそう返ってきた。
ブラックね。
まるで今の先生だわ。
「柏木雅史。」
「え?」
コーヒーを一口飲んだ先生が、唐突に柏木くんの名前を出す。
「あいつとどういう関係なわけ。」
あたしの方も見ずに、感情の読み取れない声が響く。
「どうって・・・・・・同級生、ですけど。」
それ以外に答えようがない。
まぁ、あたしを好きでいてくれるっていうのはあるけど。

