それから5分もしないうちに、珠樹も純平くんも乗り込んできて、うちの班員が揃った。
「楽しみすぎて、オレ寝られへんかと思った!」
「雅史はいつでもどこでも寝れるでしょ。」
「バレたー!!」
通路を挟んで隣同士のあたしと珠樹を飛び越えて、窓際2人の会話が相変わらずコントだ。
「ね、杏子・・・、席、変わってよ・・・。」
「え、なんでよ。純平くんの隣で嬉しくないの?」
「う、嬉しいけど!!緊張して息苦しいんだもん。」
「あたしは別にいいけど、たぶん柏木くんが嫌がるもん。」
「うわー、余裕だなぁ、杏子は。あたしも言ってみたいわ。」
半分ヤケ気味にふてくされた珠樹をなだめていれば、望月先生の点呼が始まって、バスが出発した。
「雄ちゃん、雄ちゃん!!今日の自主研どこでなにしてんの?」
「んー、見回りかな。」
「えー、だったらあたしたちと遊ぼうよ!!」
「生徒と遊んじゃ不味いんだけどなぁ。」
なんて言いながら、嬉しそうな顔しちゃって。
幸か不幸かバスの席が前の方なので、先生たちの座ってる場所が見えるどころか、会話まで丸聞こえ。
いつもの殺人スマイルを振りまいてる先生と、一瞬目が合った気がしたけど、あたしからすぐ逸らしたからわかんないや。
目的地に着くまで、ひたすら柏木くんや珠樹と会話して気を紛らわせた。