朝5時半。
まだまだボーッとしてる頭を必死に働かせながら、荷物の最終確認中。
「杏子ー!そろそろ行くよー!」
下からお母さんがあたしを呼ぶ声が聞こえて、はーい、と返事したあとキャリーバッグを閉める。
いよいよ、修学旅行。
楽しみなようで少し不安でもあるけど、今のところは完全に浮き足立ってる。
「忘れ物、ない?」
「うん、確認した!」
車のキーを持ったお母さんに聞かれて、あたしは親指を立てたグーサインで答えた。
キャリーバッグと、普通のリュックを背負って、学校まで送ってもらう。
荷物多いからチャリじゃ行けないんだもの。
「じゃ、気をつけてね。お土産よろしくー。」
なんて軽く言ったお母さんが帰って行くのを見届けて、自分のクラスのバスへと荷物を預けて乗り込んだのは集合時間の15分前。
「杏ちゃんおはよ!」
「柏木くん、おはよう。早いね。」
「朝練とあんま時間変わらんからな。」
移動車ではあたしとずっと隣の柏木くんが、朝から爽やかに微笑んだ。