「はい、どうぞ。」
「・・・。」
「遠慮せんくてええやん。オレからのプレゼントやし。」
あたしがレジに到着するころには、すでに会計は終わっていて。
満足げな顔をした柏木くんがあのワンピースの入った袋をあたしに差し出しているところ。
買ってもらうつもりなんか、まったくなかったのに。
「たまにはカッコつけさせて?」
「じゃあ・・・、ありがとう。」
爽やかすぎる笑顔と乞うような視線を向けられてしまえば、断ることなんかできなくて。
っていうか、柏木くんはいつもカッコいいのに。
言ったら調子乗るから絶対言わないけど。
「杏子!!次行こう?」
レジの側でうろうろしていたら、後ろから珠樹と純平くんに声をかけられた。
「なんか買ったの?」
「あ、うん、柏木くんに買ってもらった。」
「え、やるなあいつ。」
前方を歩く男子二人の背中を見つめて、驚いたように珠樹が言う。
「珠樹こそ、なんか買ったの?」
「うん、ブラウス。堺は買ってくれなかったけどね。」
「・・・ははは。」
心なしか不機嫌になった珠樹が、嫌味のようにあたしに向けて言葉をぶつけた。