「なぁ、これかわいない?杏ちゃんに似合うと思うわぁ。」
「・・・それ、完全に柏木くんの趣味でしょ。」
「あ、バレた?」
あたしたちがどうしてわざわざ休日に四人で会ってるのかと言うと、修学旅行に必要なものの買い出しなわけです。
関西での自主研では私服が許されてるので、みんなで服を買いに来たのがメインかな。
服屋さんに入ったあたしたちは、自然と二手に別れるようにして店の中を歩いている。
柏木くんが手に取ったのは、ものすごいフリフリのスカート。
・・・あたし、こんなの履いたことない。
似合うと思うんやけどなぁ、とか言いながら棚に服を戻す柏木くんは、意外とフェミニンなものが好きなのかな。
「あ、これかわいい。」
ふと隣の棚にあるワンピースが目に入り呟く。
「杏ちゃんぽくてええわぁ。ま、杏ちゃんはなんでも似合うけどな。」
なんてサラッとキザなセリフを吐いた柏木くんに照れた顔を見られないように背を向けて、傍にあった鏡で自分にあてがってみる。
シンプルだけど、腰にベルトのついた白地に花柄のワンピースは、あたしの好みにピッタリだ。
「それにするん?」
「うん、自主研これで回りたい。」
「そっか。・・ほれ、貸してみ。」
そう言いながら手を差し出す柏木くんに疑問符を浮かべながらも、とりあえずワンピースを手渡してみる。
「よし、杏ちゃんそこにいてな!!」
「え、ちょっと!!」
言い終わるより先に少し駆け足でレジの方へ向かった柏木くんを慌てて追いかけた。