夏休みが明けて、どこ行ってきたとか何してたとかいう報告合戦や、お土産交換会も一段落し、いつもの風景が広がり始めたころ。


「今日は、修学旅行の班、決めるわね。」


LHRの時間、今日も今日とておっとりした口調の望月先生が微笑んで言う。


「修学旅行!?もうそんな時期!?」


「うっそー!!どうしよう、痩せなきゃ!!」


「どこ行くんだろう!!」


先生の言葉を聞いた途端、一気に騒がしくなる教室。


あたしも例に漏れず、ワクワクしてるけど。


「4人から6人くらいで固まってね。男女混合でもいいわよ。」


先生からいくつか注意事項を聞いたあと、始め、という先生の声で一気に教室が熱気を帯びる。


「杏ちゃーん!!オレと同じ班になろ!!」


「うわー、柏木やらしー。」


「なっ、そんなんちゃうわ!!オレはただ!!」


「はいはい、お幸せにー。」


相変わらず対角線に座ってる柏木くんが、あたしに向かって大声で叫ぶから、彼の近くにいた男子たちから冷やかされる。


もうっ・・・、こっちまで恥ずかしくなるんだからやめてほしい。


「杏子。他どうする?」


「うーん、柏木くん誘ってくれてるし、どう?」


「うん、あたしは別にいいよ。」


あたしの隣の席に座りながら聞く珠樹に、内心まんざらでもなく答えた。


・・・ほら、純平くんも誘えるし、ね。