キョトンとしたあたしをよそに、先生はふっと息を吐いて落ち着かせた様子。


「お礼、したいんだっけ?」


「・・・・・・え?」


唐突すぎる先生の発言に一瞬ポカンとしてしまう。


「まぁ、これもなんかの縁だしな。


いいよ、俺の″特別″にしてやるよ。」


「・・・・・・は?」


これまた唐突な発言どうもありがとう。


おかげで頭の中は整理出来なすぎて大変ですよ。


っていうか、あたしさっきから一言しか喋ってないぞ。


「じゃあ、そういうことで。手始めにアドレス頂戴。」


あたしの話なんか一切聞く様子もなくケータイを取り出して催促される。


「あ、はい。」


わけも分かんないまま、雰囲気に呑まれてあたしは先生とアドレスを交換した。


「よし。・・・・・・俺からの連絡には必ず応えろよ。例外とかなしな。」


それだけ言って、先生は第3音楽室から出て行った。


なんだかよく分からなかったけど、とりあえず良かった、のか?これは?


ケータイに登録された″春市雄祐″の字に、不覚にも胸の奥がキュンと音を立てた。