その場でスーッと深呼吸して、自分に気合を入れたので、


いざっ出陣!!


「行って参りま「あれ、階段の。」」


珠樹に敬礼しかけたとき、後ろから聞きなれない声が聞こえた。


そっと後ろを振り向けば、殺人スマイルを張り付けた春市先生が立っていた。


「あ、お、お疲れさまですっ。」


あまりに驚きすぎてわけのわからない言葉を発してしまった。


「君も俺に用?」


優しい笑顔を向けられて、やっと思い出した用事。


「あ、そうでした。さっきのこと、お礼言いたくて。」


同じように優しく微笑みながら大事なことを伝える。


「ふーん。・・・・・・ちょっと来て。」


急に先生に腕を引っ張られたあたしは、わけもわからずどこかへ連れていかれそう。


「ちょ、杏子!?」


さすがの珠樹も驚いて追いかけようと踏み出したけど、なぜかそのまま立ち尽くしていた。


「珠樹いいいぃぃぃぃぃ!!」


あたしの悲痛な叫びが廊下に響いて、スーッと消えて行った。