特に会話が続くわけでもなく、たまに道案内のために指示するくらいで時が流れる。
運転してる姿も、だいぶカッコいい。
真剣に前を向いて、しっかりハンドルを握って、たまに周りを確認するためチラッと視線を揺らす。
これは、見とれずにはいられない。
できるだけ悟られないようにと気を付けながらも、何度も盗み見てしまった。
「・・あ、ここ、です・・・。」
これで先生と一緒にいられる時間が終わってしまうのかと思うと寂しくて、つい声が小さくなる。
「・・・今日は、ありがとな。助かった。」
「え・・・、いえ・・。」
珍しく素直な言葉をくれた先生に戸惑う。
なんだか、今日の先生は普段と違う。
機嫌だって悪くなかったし、あたしに感謝するなんて・・。
車を降りて家の前へ行けば、運転席側に立つことができる。
「じゃ、また学校でな。」
ポンポンと頭をなでられて、一気に心臓の音が加速する。
柏木くんより大きくて、でも細い当たり方・・・。
「お、おやすみなさい・・。」
「・・おやすみ。」
テンパってまるで恋人に告げるみたいな言い方をしてしまったけど、先生は微笑んで返してくれた。

