〜千春〜





なんか最近、寂しい。



海が話しかけなくなったからかな…。

いや、それはないっ!!





何か前より物足りない。



確かに海は最近あまり話しかけてこない。




どうしてだろう…。


私、何かしちゃったかな…。




私から声かけようかな?


でも……。




悩んでいるうちに、一日が終わる。


そんな生活を1週間ほど繰り返していた。


ある日、帰ろうと廊下を歩いていると、海が走ってきた。




「千春〜!」



「わっ。何よ」


いきなり海が飛びついてくる。



その衝撃で、コロン、と私のポケットに入っていた物が落ちる。




「ん?何これ」


「うわっ、ちょっと…」



「これって…俺が拾った消しゴムじゃん!」




「……////」



あの日海が拾ったくれた消しゴムは、大切に持っている。



使っては勿体無いと思ったのだ。


何故かはわからないけど、なんか使いたくない…。




「大事に持ってるんじゃん。何で?」



「え…。何でって…」




本当の事は言いにくい。


でも、海には嘘つきたくない。




だから私は、本当の事を伝えた。





「なんか……使うの勿体無い…から…」



最後の方はこえが小さくなった。


でもそれを聞いた海は、ニッコリと笑って、



「ありがとな!」



と言った。


いつもいつも…!




そうやって海が笑うと顔が熱くなる。



11歳の私は、海が好きだった。







私の初恋の人。