家に帰り、私はクローゼットとにらめっこしていた。




「どんなの着て行けばいいの……」



仕方なく達磨の言う小花公園に行く事にした。





まぁコレでいいか。



私が選んだのは、青い水玉の柄のノースリーブワンピース。

その上に、白い薄い上着を着る。



「いってきます」





私は家を出た。



左に曲がって一直線。


そこに小花公園はある。




私には馴染みのある公園だ。


11歳の頃、男の子とよく遊んだなぁ。




誰だっけ…?




考えているとすぐ小花公園に着いた。





「あれ、居ない…」



少し早く来すぎたようだ。

まだ達磨は居なかった。





「おっ……!千春っ!!」



達磨が走ってきた。


「来てくれたんだな……っ!!」




むぎゅう。



なっ…?!




腰に達磨の手がまわっている。


その状況を理解するのに、5秒程かかった。




抱きしめられてる…?




「い、やぁぁああ!離せ!スケベ!」



「あぁ、ごめんごめ〜ん。つい」




達磨はそう言うと抱きしめるのをやめた。


つい、じゃないよ!!




無意識のうちに女の子を抱きしめるってどうよ?!



あぁ…来なければよかった。




ていうか、何で此処に呼び出したんだろう…。



「何で此処に…?」





「…まだ、思いださねぇ?」




「?」



「11歳の頃……」


へ?



何で達磨がその事知って……。




「あぁぁぁぁあぁ!!!!」



「思い出したか」



「かっ、海……っ?!」




「そうだよ」





達磨って……海だったの?!



海は11歳くらいの時、毎日小花公園で遊んだ男の子。




私の初恋だった。




「嘘…でしょ。だから……あんな馴れ馴れしく……」



だんだんと涙が出てきた。





海は、私の12歳の誕生日に引っ越してしまった。



でも……何で、こんなチャラくなっちゃったのっ?!





「ほら」



達磨…いや、海はハンカチを私に差し出した。




「うぅ……なんで…変わっちゃったの…?」



「え?」


「あの時の海……すごく…カッコよかった…よ。今と違って…」




海は頭に10tのオモリがのしかかったような表情をする。




あぁ、海のハンカチがびしょびしょだ。


私相当泣いてるな。



「…でも……」





私、海の約束をやぶってしまった。


私の12歳の誕生日、私と海は「小花公園とお互いの事は忘れない」と約束をしたのだ。



ごめんね。





それと……。






「戻ってきてくれて、ありがとう」