〜千春〜




喫茶店行こうと達磨に誘われた次の日。


私は消しゴムを落としてしまった。




やばっ……。



この先生の場合、授業中立ち歩く事は禁止されている。




たとえそれが、消しゴムを落としたりペンを落としたりしたという理由でも。




先生はそれを、言い訳として解釈する。



その消しゴムは転がって達磨の真下に行ってしまった。




やばいよ……っ!



すると達磨は立ち上がり、上手く先生に許可をもらい拾ってくれたのだ。




予想外。



いいところがないと思ってたけど、ない訳じゃないんだ。




私は「ありがとう」と口パクで言ってみた。






その日の帰り。



また。





「よぉ」


「一緒になんか帰らないよ」



「そんな事言ってねぇって。今日家帰ったら、そこの小花公園に来て欲しいだけ」


「は?」




達磨はいつものチャラい顔でニコニコと言う。



マジですか?





小花公園って…私の家から近いとこ…。



って、達磨!


なんで小花公園知ってるの?!




達磨の家からはかなりの距離がある筈…!




「嫌だ」



「何でだよぉ」




「嫌…だから」


「千春、昨日もそれ言ったよな〜」




だから何よっ!


嫌なの、達磨と居るのは!




馬鹿が感染する。
みんなに見られる。



「ホントに嫌なのか?」




「……うん」




「そうか。でも、約束は約束だ」




「…はい?」



「俺は小花公園で待ってるからなぁ」




達磨はそれだけ言うと走って帰ってしまった。



ひぃぃ……っ!





これじゃ、行かないといけないじゃん!



そもそもそんな約束してないし…っ。