〜達磨〜




「……で、ここには……の……を…」




先生が何やら話している。


が、俺は聞いていない。




背中に意識が集中してしまう。


そう、佐倉 千春だ。



昨日教室に入ってすぐ、目に入った。


その子の名前もすぐ浮かんだ。




人違いはヤバイので色々質問すると、うるさい、という毒舌攻撃を喰らった。




肩まで伸びる髪、つぶらな瞳、白い肌に細い手足。



何というか、理想の女の子だった。




昔のように、性格も優しければ完璧なんだが…。


逆にああいうクールなのも千春を際立たせる。






千春は俺の事は覚えてないらしい…。




俺は、ずっと想い続けてたのにな。



まぁしょうがないか。





3年前の事なんか覚えてないか。



俺と千春が11歳の時だもんな…。






俺は千春が俺を思い出してくれる事を祈った。