〜達磨〜








千春が恋しくて眠れないし授業も集中できない。





重症だ。





でも千春は、俺の事嫌いなんだよな。





千春にとって俺なんて…。






深く考えると涙が出てきてしまった。




「あ…れ。なんで……」






その涙は止まる事なく溢れ出す。






それでも俺はいつも通り帰ろうと下駄箱へ向かう。




すると、あの肩まである黒髪が見えた。







「……ち、千春…っ?」



「海……!」






なんでこんな時に…!


とりあえず急いで涙を右腕でぬぐう。





すると千春がこんな事を言い出した。






「…海、ごめんね」







…は?




なんで千春が謝ってるわけ?


なんで千春が?






「私………好きなのにつき離した」





「何の話」





本当はわかってたけど、口に出した。



千春がこんな言い方をするなんて思わなかったから。





「告白…してくれたでしょ?あれから…考えたんだけど……」







千春の頬がりんごのように真っ赤に染まる。










「やっぱり私、海が好き」










聞き間違えるはずもない、ハッキリと千春は告白した。






「……俺、逆だと思ってた…」




「え?」






千春に嫌われてる。



それが頭から離れず、千春に告白されるなど想像もしていなかった。






「千春は俺の事、嫌いなんだと思ってた」





俺が言うと千春は笑顔になって、





「嫌いになるわけないでしょ!!」







と言ってくれた。




「…私、海が好き……大好き」







「……そうか」




俺は千春を抱きしめていた。






千春は俺の腕の中で泣いた。








5月19日。




俺と千春は付き合う事になった。