棺桶の中には死体。

これ即ち世界の常識。

中身が分かりきっているのにわざわざ開ける悪趣味なマニアなど、そうはいない。

なのにわざわざ立て札が準備してあるという事は、開ける奴がいるという事である。

…地下室への石段を、カツカツと足音をさせて下りて来る者がいた。

銀髪、貴族のような衣装を身に纏った、蝙蝠を彷彿とさせるマント姿の青年。

顔色は悪い。

学校に行ったら確実に一時間目の途中で早退するタイプだ。

そんな病弱そうな顔に爽やかな笑みを浮かべながら。

「ご飯だよマイシスター♪」

朗らかに青年は柩に声をかけた。