古城の内部は薄暗い。

既に人間が足を踏み入れなくなって久しいこの城には、蜘蛛の巣が張り、埃が積もり、鼠が我が物顔で徘徊している。

そんな、お世辞にも清潔とは言えずジメジメした古城。

湿気を更に強く纏った階段を深く深く下った場所に、地下室があった。

灰色の石壁が、長い年月によって苔生した暗い一室。

その真ん中に、柩がある。

誰もが知る、遺体を霊安する棺桶。

その傍らに、立て札があった。

『Don't OPEN!』

誰が開けるか。