深い森を眼下に見下ろす、崖の上の古城。

天空は曇天、稲妻が轟き、暗雲がこの地の陰鬱さに拍車をかける。

かつては栄華を極めたこの城にも、今は住まう人間はいない。

かれこれ数百年、この城に『人間』は足を踏み入れていなかった。

そんな長い年月放置されれば、よからぬものが棲み付いたとしても無理からぬ話。

城には、住人がいた。