一通り見て回った。

後は…璃子の言う

『野良猫』だけだ。

その前に璃子に

「のど乾かない? 何か飲まない?」

流石に疲れたので、

ベンチに座って璃子に尋ねた。

「私は…」

何だろう?つまらないのかな?と心配してると…

「焼きそばだな!」

「え?焼きそば?って…」

のど乾かないって聞いたのに?

「私は、焼きそばにはうるさいんだ!

あ! まーくんは?」

と聞かれたので

「焼きそばはいらないよ…」

と答えたら…

「違うよ…何を飲むの?って事。」

微笑みながら言ってくれた。

「あ…えーと…」

とっさだったので答え切れなかった。

「ビール飲んだら良いんじゃない?」

「あ!じゃぁ…ビールで…」

「私にも少し頂戴ね。」

しばらくぼーっとしていたら

璃子が

なかなか帰って来ないのに気付いて

売店の方を見た。

何やら、売店の人と話し込んでいた。

璃子の後ろには数人のお客さんが

迷惑そうな顔をして並んでいた。

「……何をしてるんだか…」

ボソッと、つぶやいた。

やっと璃子が

焼きそばの入っているパックと

ビールが入っている紙コップを

手に戻って来た。

「時間がかかったけど、

作り置きは無かったの?」

と聞いたら…

「焼きそばは焼いてる所を

見ないと買えないからね。

だから…新しく焼いてもらったんだ。

はい! ビール。」

と紙コップを私に手渡してくれた。

それで売店の人と話し込んでいた。

「あんなに並んでいるとは、

思わなかったよ。」